very sweet verry 1



 ……疲れた。
 あぁ、無駄な体力を使っちまった。
 原因は野明だ。

 つい一週間前の事だ。
 第二小隊が待機任務の夜、いつも通り夕食を終え、俺達男性隊員が先に入浴を済ませた。
 続いて、おタケさんと野明が入浴した。
 これもいつも通り。

 しかし、いつもと違う事が一つだけあった。

 野明のシャンプーの香りだ。

 風呂上がり、宿直室でのんびりとテレビを見ていたが、つまらない番組しか放送してない。
 俺は、シゲさんとパソコンの話でもしようかと、宿直室を出て整備員の宿直室へと向かおうとした。
 そこへ、風呂上がりの野明が鼻歌を歌いながら廊下を歩いてきた。

 俺を見つけた野明が笑った。

「あ〜、気持ち良かった! ねぇ、遊馬! 冷蔵庫にウーロン茶あったよね?」
「あったと思うぞ」 

 まだ濡れている髪をタオルで無造作にバサバサと拭いている。
 ふと、俺の鼻に甘酸っぱい香りが届いた。
 
 何だ? この香り。
 香りのする方を見る。
 野明から漂ってきている。

「なぁ、野明。 何だこの香り? お前、香水でもつけてるのか?」
「え? 香水なんてつけてないよ?」
「じゃあ、何の香りだこれ? 甘酸っぱい……イチゴみたいな……」
「あぁ! シャンプーの香りだよ。ほら!」

 野明が、持っていたカゴの中からボトルを取り出した。

「このシャンプーね、春の新発売なんだ〜! 『べリースウィートベリー』って名前なの」

 ボトルのキャップを開けて、俺の鼻へ近付けた。

 香りを嗅いでみる。
 確かに野明と同じ香りだ。

「いい香りでしょ? これね〜、イチゴとクランベリーとラズベリーの香りなんだって」 

 ……全部イチゴか。
 通りで甘酸っぱいわけだ…… 
 何か、思わず食べてしまいたくなる様な…… 

「思わず食べちゃいたくなる香りだよね〜」
 
 野明はボトルを自分の鼻に近づけ思いっきり香りを吸い込んだ。

「ん〜、いい香り!」
 
 目を閉じて、うっとりと香りを楽しむ野明の言葉と表情に俺はドキリとした。
 
 今までに見た事の無い艶っぽい顔。
 
 こいつ、まさか他の男の前でもこんな顔してんじゃないだろうな。
 こんな甘酸っぱい香り振りまきながら、そんな顔されたら男が黙ってないぞ!

 何か、嫌な予感がする……

 そうして、俺の予感は大当たりしてしまった。 



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