願い   



 暖かな風が頬を撫でる感触で目が覚めた。

 ゆっくりと眼を開けると、ベッドの傍にある窓が開け放たれ、カーテンがふわりふわりとやわらかく揺れている。


 今日は久しぶりに丸一日休みの日曜日だ。


 ベッドの中で思い切り手足を伸ばし、勢い良く身体を起こす。

 そして、スリッパを履き居間へと向かった。



 俺が居間のドアを開けると、先程感じた暖かい風と共に、いい香りが鼻をくすぐる。

 香りの先には……春独特の穏やかな日差しの中、ベランダで洗濯物を干しているクラピカがいた。


 ずっと忙しくて、溜まったままになっていた洗濯物を洗ってくれたようだ。

 お互いに忙しくて、しばらく会えなかったから、こうしてクラピカが俺のところにいることが嬉しくて。

 その後姿をしばし見つめる

 すると、クラピカが振り返った。


 俺を見て、そして微笑んだ。


「やっと起きたのか? レオリオ」

 逆光の中、微笑んでいるクラピカが眩しくて、思わず眼を細める。

「ああ。 久しぶりによく寝たよ」

「それはよかった。 これを干し終わったら食事にしよう」

「おう。 腹減ったぜ」


 それから二人で洗濯物を干して、遅い朝食(要はブランチ)を摂った。

 
 焼きたてのトーストと、挽き立ての豆で入れた俺用のコーヒー。

 クラピカのお気に入りの茶葉で入れたミルクティーと、目玉焼きとサラダとミネストローネと……。


 もちろん、俺が作った。


 クラピカはやはり面白くない顔をしていたが、クラピカの作る料理はちょっと口に合わな……じゃなく、何とも個性的な味付けなので、一度ご相伴に預かってからは俺が作ることにしている。

 ぶつぶつ文句を言っているクラピカをなだめすかし、椅子に座らせる。

  

 そして、春の風を感じながらのんびりと食事をする。

 他愛のない話をしながら。



 こんな何気ないことが、幸せに思う。


 
 お互い、目指すものがあって、今はまだ無理だけど。


 いつか、毎日こうして二人で笑えるように。

 いつか、毎日こうして二人で美味しい食事を食べられるように。

 

 心より、願うよ。