抱きしめて欲しい



 2人でテレビを見ている時。

 受験勉強の合間、休憩しようと居間に入った時。



 そんな時ふと、クラピカの瞳が俺に訴えかける。



 もちろん、クラピカは口が裂けたってそんなことは絶対言わない。



 でも、『目は口ほどにものを言う』とはよく言ったもので、クラピカの瞳は驚くほどに正直だ。

 

 ほら、今だって。



 ソファで参考書を見ていた時、視線を感じて顔を上げると、クラピカと目が合った。


「クラピカ」

「……な、何だ」

 声を掛けた途端、見る見る間にクラピカの頬が赤くなってく。

 だから、そんなに慌てたらお前が今何を考えてたかバレちまうぞ?

 普段は冷静沈着で、何があってもうろたえたりすることなんてないのに。

 

 ……やっぱり可愛い。


 そんなこと言ったら、強烈な右ストレートが飛んでくるから絶対言わねぇけどな(以前、言ったらぶっ飛ばされて、マジに花畑が見えた)。


 耳まで真っ赤になったクラピカを手招きすると、少し躊躇しておずおずと足を動かした。


 ソファの足元に座るように言うと、恥ずかしいのだろう。

 俺に背を向けて、腰を下ろすなり背を丸めて小さくなった。


 まったく、世話の焼ける。


 そのまま腕を伸ばして、クラピカを背中から抱きしめる。

 一瞬、硬直したクラピカの身体から少しづつ力が抜けて、膝の上でもじもじとしていた手がゆっくりと俺の腕に触れた。


 


 なぁ、クラピカ。

 甘えたい時は、遠慮しないでたくさん甘えていいんだぞ?



 ……言っても凄い剣幕で拒否されるから言わないけどな……。