素直なままで恋をしようよ



「野明」

 遊馬が無愛想に手を差し出した。

 あたしはその手を取って、遊馬の手の温もりを確かめる様にそっと力を込めた。

 非番の日に2人で出掛ける時、遊馬はこうしてあたしと手を繋いでくれる。

 今、遊馬とこんなに近くにいることが嬉しくて。

 きっとあたし、今すごい優しい顔してると思う。

 そう考えると照れくさい。

 でも、遊馬と2人なら、これからどんな事があっても大丈夫って感じるの。

 一人きりの夜も変わっていく。
 
 寂しい気持ちも、遊馬に電話をかけるための素敵な理由になるって気が付いた。

「遊馬に会いたい」って素直に言えるようになった。



 遊馬があたしを見て笑ってくれる。
 
 その笑顔の力であたしは毎日生まれ変わる。

 遊馬と出会ったのは運命だったのかもしれない。
 
 もしかしたら偶然だったのかもしれない。

 でも、あたしは運命だけに頼らない。
 偶然ばかりを望まない。

 この繋いだ手の温もりを当たり前に思う頃、きっとこの恋の真価が試され出す。

 誰かを好きでい続けるためには、好きでいてもらえる努力も必要だとあたしは知った。

 遊馬には『あたしらしさ』をもっともっと知って欲しい。

 そしてあたしが『あたしらしさ』を見つけ出したら、きっとこの恋はもっと楽しくなる。

 夢も
 
 未来も

 幸せも全部引き連れて

 素直なままで恋をしよう。

 なくせないものをあたしは見つけた。

 それは遊馬。

 大事な人を守りたいって強い思いが、繋いだ手から溢れ出していく。



「ねぇ、遊馬」

「ん?」

「抱きしめてもいい?」



 そばにいても

 離れていても

 そっと、ぎゅっと

 遊馬を抱きしめたい……。