warm
『今年は暖冬でよかったね。』
『本当に助かったよ。』
『遊馬寒いの苦手だもんね〜』
ここは北海道・苫小牧。
俺達が同棲して初めての、いわゆる『彼女の実家に二人で里帰り』の最中だ。
親父さん達に直接挨拶できた事で肩の荷が降りた俺は、野明との散歩を心から楽しんでいた。
『遊馬に見せたかったんだ〜この海。』
散歩してるうちに、防波堤まで辿りついてしまった。
『ここはさすがに寒いなぁ。』
地元育ちとは言え、野明はコートも着ずにセーターにジーンズという薄着。
『マフラーするか?』
自分がしていたマフラーを外そうとコートの前を開けると、野明が俺のセーターの裾に潜り込んで抱きついてきた。
『あったか〜い♪』
『おいっ・・・何やってるんだ?』
『何って?あったまってるの。』
俺は慌てて周りを見回すと・・・よかった、どうやら人気はないようだ。
『野明・・・いきなりどうしたんだよ?』
『ダメ?』
・・・その上目使いは反則だろ。
『まあ・・・いいけど。』
『よかった♪』
コートの前を閉めるように抱き締めてやると、気持ち良さそうにすり寄ってきた。
『遊馬・・・』
『ん?』
『このセーター伸びちゃうかなぁ?』
『わかってるならやるなよ・・・』
――終わり――