彼女のシャンプー



月曜の夜、風呂に入ると自分のシャンプーの隣にカラフルな容器が並んでいるのに気付い
た。

すっかり週末恒例になった『お泊り』で野明が忘れていったシャンプー。


いや、『置いていった』というのが正解か。

少し前にシャンプーを忘れた野明に、俺のを貸した事があったから。
あの日以来男物のシャンプーには懲りたらしく、忘れずに持ってくるようになっていた。


『・・・いっそ、ここに住めばいいのにな』

自分の言葉にはっとする。

同棲か・・・どうして今まで思いつかなかったんだろう。

付き合い始めて一年、八王子ではあくまで『仕事仲間』な俺達。

野明が寮住まいのため、平日はなかなか二人きりの時間が過ごせない。
そんな空白を埋めるように始まった、俺のアパートでの『お泊り』。


日曜の夜、野明を寮に送り届ける時の俺は・・・いつも離れがたさに襲われる。


『また明日な』


平気な顔を装って別れるたびに、自分に嘘をついていた。

――本当は一瞬だって離したくないのに――




仕事に追われた平日もどうにか終わった金曜の夜、コンビニの駐車場に停めた車の助手席
で野明がぽつんと呟いた。

『遊馬・・・今度、アパート探すの手伝ってくれる?』


そう、篠原の寮は3年間の期限付き。
野明は警察からの出向を機に入寮してから3年が経とうとしていた。
・・・これはチャンスかもしれない。


『ちょっと狭いけど、格安な物件あるぞ?』


『え、どこどこ!?』


『○○町××・・・』

告げたのは俺のアパートの住所。


『ちょっと遊馬、それって・・・』




『野明・・・一緒に暮らさないか?』