ぬくもり
『遅〜い!!』
ただ今夜11時半。
せっかくの週末なのに、今日は遊馬が八王子の開発課の男性陣と飲み会で。
『なるべく早く帰るから部屋で待ってろ』
って言われたから、こうして待ってるんだけど・・・・・・遅いよぉ。
お風呂もすませちゃったし、
TVもつまんないし、
一人でお酒飲むっていうのも寂しいし・・・。
仕方がないのでベッドに転がって毛布にくるまる。
『あ、遊馬の匂いだ・・・』
こうしてるとまるで遊馬に抱き締められてる気がして、
ますます寂しくなる。
起きてると待つのがつらくなるから・・・もう寝ちゃおう。
『野明・・・寝てるのか?』
すぐそばで遊馬の声がする・・・やっと帰ってきた!!
『お〜い、野明?』
遊馬のバカ・・・謝ってくれるまで起きないもんね。
私が眠ってると信じたのか、
遊馬はベッドの端に座って毛布ごしに私の身体を撫でている。
『・・・遅くなってごめんな?』
ようやく出た言葉だけど、やっぱりまだ悔しい。
『・・・遊馬のバカ』
『野明・・・起きてたのか!?』
びっくりした遊馬が毛布をめくったけど、
私は背中を向けたままじっとしてる。
『野明・・・こっち向けよ』
肩を捕まれて身体の向きを変えられた。
至近距離で視線がぶつかる。
『なんで寝たふりなんてするん・・・』
『寂しかったんだよ!!』
堪え切れずに遊馬の言葉をさえぎる。
『寂しくて・・・一人で起きて待ってるなんてできなかったんだもん』
困らせたいわけじゃないのに、つい弱音を吐いてしまう。
『俺だって・・・寂しかったんだけど?』
遊馬も毛布にもぐりこんでくる。
『おみやげ買う時間ももったいなくて・・・駅から走って帰ってきたんだぞ?』
『おみやげないんだ?』
『食物には反応するんだな・・・』
遊馬は苦笑いして私を抱き寄せる。
『この毛布・・・遊馬に抱き締められてる気がするんだよ?』
『ふうん・・・毛布と俺、どっちがいい?』
遊馬のバカ・・・わかっててそういう事聞くんだ。
『こっちがいい・・・』
答えは私の腕の中にあるぬくもり・・・。
『遊馬・・・おかえりなさい』
―終わり―