願い



今日は待ち合わせの時間より早く家を出て、
遊馬にプレゼントするネクタイを探しに一人で買い物にきた。

この間ピアス買ってもらっちゃったから・・・お返ししようかなって。
あとは『いつもお仕事ご苦労さま』って、労いの気持ちも込めて。


遊馬は最近、仕事で本社に呼び出される事が多くなった。
定期的に開発状況の報告があるうえ、さらにそれに伴う会議へ参加するために。

警察から出向していた時にはなかった『社員の仕事』。
八王子にいる時はもっぱらツナギを着ている遊馬も、
さすがに本社にツナギというわけにもいかず、
本人いわく『慣れない』スーツ姿で頑張ってるらしい。

『頑張ってるらしい』と言うのは、テストパイロットの私は報告や会議への参加はしないので、
遊馬の本社での仕事ぶりを見ることができないんだ。

ある日、クローゼットに並ぶスーツを見せてくれた遊馬の、
ちょっと誇らしげで・・・ちょっと寂しそうな表情を知ってるのはきっと私だけ。

そんな瞬間、もう『あの頃には戻れない』事を思い知らされるけど、
それを選んだのも自分達で。

今は、お互いの選んだ道を真っすぐ進む事で精一杯だけど・・・
いつか、二人の道が重なる事を願ってもいい?


プレゼントを胸に抱いて、私は待ち合わせの場所に急ぐ。

遊馬、驚いてくれるかな・・・もし、気に入ってくれたら嬉しいな・・・


――END――