YOU'RE THE BEST
今日俺達第二小隊に辞令が下りた。
進士さんは本庁総務課に転出。
太田は青梅の特車隊員養成学校に教官として赴任。
そして、野明と俺は本庁装備開発課に転出が決まった。
終業間近、オフィスに戻って来ない野明を探していたら、シゲさんが屋上にいると教えてくれた。
屋上への階段を上がっていくと、生暖かい夕暮れ時の風が俺の頬を撫でた。
屋上の屋根の上、野明は膝をかかえて物憂げな瞳で、琥珀色に変わりつつある空を見つめていた。
俺は何も言わずに野明の隣に腰を下ろした。
「……人間って同じ場所にはいつまでもいられないんだね……」
野明がぼそりと呟いた。
「そうだな……」
「アルフォンスとも一緒にいられなくなっちゃった……」
俺は黙って野明の言葉を聞いていた。
野明に何て言葉を掛ければいいのかわからなかった。
「……でも仕方ないよね」
野明の口から飛び出した思いがけない言葉に、俺は野明の顔を見つめた。
「ね、遊馬。 装備開発課に転出になって、もしアルフォンスに会いたくなったら、八王子工場に連れて行ってくれる?」
野明は笑っていた。
誰よりも綺麗な笑顔で。
「ああ。 連れて行ってやるよ、いつでも」
人は一つの思いに囚われて迷ってしまう事がある。
一つの思いは回り続けて。
野明の『パートナー』ではなくなってしまう俺。
そんな思いに囚われて迷っていたのは俺自身。
野明は迷いに打ち勝つ力を持ってる。
それは野明から溢れ出す輝き。
野明は言葉に惑わされない。
立ち止まらない。
そんな野明が疎ましかった事もある。
俺とは正反対の性格で。
でも、今は違う。
そんな野明が好きだと言ったら、野明は俺のそばにいてくれるだろうか?
「よし。 野明! 飯食いに行くぞ!」
「え!? 奢ってくれるの!?」
「お前ほんと食い物に弱いなぁ。 知らない奴に『飯奢る』って言われてもついて行くなよ?」
「行かないよ〜! 人の事何だと思ってんの?」
「食いしん坊」
「遊馬っ!」
怒って立ち上がった野明に1発喰らう前に、俺は屋根から滑り降りた。
俺の野明への思いは転がり続けて、回転速度を速めていく。
この思いには
きっと寂しささえ追い付けない。
悲しみさえも追い越せない。
野明。
お前はそのままが1番だから
いつまでもその輝きをなくさないで……。