GIRL FRIEND



 埃の舞う特車二課前のバス停で、野明と俺はバスを待っていた。

 夕焼けの中、秋風が俺達を包み込むかのように通り抜けていく。

 風が巻き上げた髪を、野明がうっとうしそうにかきあげた。

 夕日に照らされた野明の顔。

 頬にはうっすらと一筋の傷跡。

 あの戦いの勲章。

 その傷跡を見る度、あの日の事が思い出される。
 

 

 グリフォンとの決着がついたあの台風の日。

 どしゃ降りの雨の中、ついに動けなくなったグリフォンから姿を見せたバドと、野明が何を話していたのか俺は知らない。

 ただ目に飛び込んで来たのは。

 傷付いた瞳をして、口びるを震わせていた哀しげな野明の顔。

 グリフォンとバドの事は、寮の門限に間に合わない位、あれから何度も話をした。

 でも、野明はバドと何を話したのか、話はしなかった。



「……今からでも変われるよね」

 あの日の光景を思い出していた俺の耳に、ふいに飛び込んで来た野明の声。

「……え?」

「バド……あんな事になっちゃったけど、きっと変われるよね」

 特車二課を何度も窮地に追い込んだグリフォン。
 
 それを操縦していたのはまだ子供のバド。

「アメリカでブレディ警部が引き取って養子にしたんだろ? ……いくらでも変われるさ」

「……そうだよね……変われるよね……」

 俺の顔を見て野明が嬉しそうに微笑んだ。

 夕日を浴びる野明を見て、俺の鼓動が少し早さを増した。
 
 野明は激しい戦いを終える度に、綺麗になっていく。
 
 

「……いつか会えるといいな、バドに」

 夕日に目を細めた野明がひとり事の様に呟いた。

 幼気な瞳で夢を抱きしめていた野明は、あの戦いで何を得たのだろう。 

 強がりで頑固な野明。

 俺はそんなお前を自慢に思うよ。

 隠せないくらいに胸に哀しみをかかえても、その哀しみに負けないまっすぐな瞳で
 

 明日を見返して