FOOL ON THE PLANET
                                                         

「わあ、すごい!」

「だろ?」

 非番の夜、俺は野明を寮から連れ出した。

 そして連れて来たのは、今にも星が降ってきそうな小高い丘。
  
 苫小牧の様に綺麗には見えないだろうけど、窓越しじゃ物足りないから、できるだけ夜空の近くへ連れて来てやりたかった。

「あ! 流れ星!」

 野明が指差した方を見たけど、俺は見ることが出来なかった。

「えへへ。 願い事しちゃった。 叶うかな?」

「強く信じれば叶うさ、きっと」

「強く信じれば……か……。 ねぇ、遊馬の夢って何?」

「俺の夢……?」 

 横に立っていた野明が、俺の顔を見て不思議そうな顔をした。

「どうした?」

「……今、遊馬が一瞬別人に見えた」

「別人?」

「うん。 今まで見たことない位優しい顔してた……」

「そうか……」

 そのまま町並みを見下ろすと、飛行機が飛んで行くのが見えた。

「俺の夢は……」

 野明が期待に満ちた瞳で俺を見つめている。






「……やっぱり教えない」


「え〜! 何で? 教えてよ〜!」

「そうだな……叶ったら教えてやるよ」 

 丘の上から見下ろした町並みに視線を移すと飛行機が飛んで行くのが見えた。

 この地上にあふれる全ては、俺に似た昔の誰かが、夢を見ては叶えてきたもの。

 つかみたい夢がある。
 その夢を見失わないで追いかけたい。

「ほんと? 叶ったら教えてくれる?」

「あぁ。 約束する」

 野明が笑った。

「じゃあ、それまで遊馬の隣で待ってる」

 野明が俺の手をそっと握った。
 俺も野明の手を握り返した。

 この先どんなに時が巡ってもきっと人は、地球という名の青く揺れる惑星に立って、こうして想いを描いて夢を捜し続けていくのだろう。

「野明は何を流れ星に願ったんだ?」

「……あたしはねぇ……」

 野明は背伸びをして、微笑みながら俺の耳元に口びるを寄せた。

「……あのね……」