あした
ある夏の日、遊馬とあたしは非番の日に一緒に映画を見に行った。
映画館を出て、ぶらりとウィンドーショッピング。
雑貨屋を覗いたり
服を見たり。
そして、
夕闇が街に舞い降りて
街は少しずつ雰囲気を変える。
「もうこんな時間か。 飯食おうぜ」
「うん」
一歩先を歩いて行く遊馬の背中を見ていたら、
何故か、不安が押し寄せた。
まるで津波の様に。
遊馬の着ている濃紺のシャツが
夕闇に溶け込んで
遊馬が消えていなくなってしまう様な気がして
あたしは思わず、遊馬の背中にしがみついた。
「お、おい。 何すんだ! こんなところで……」
あたしの不安を感じ取ったのか
照れて赤くなってた遊馬の顔がふっと引き締まった。
シャツを握り締めていたあたしの手を取る。
「……どうした?」
あたしの正面に向き直って、顔を覗き込んだ。
「……遊馬……何処にも行かないよね……?」
あたしの問い掛けに、遊馬は優しく微笑んだ。
「……行かないよ、何処にも」
「あした、また会えるよね?」
こぼれそうになる涙を堪えて遊馬の目を見た。
「……会えるよ」
遊馬はあたしの頭を撫でてくれた。
子供をあやすみたいに。
「俺はお前を置いていったりしない」
「……うん」
手をぎゅっと握って
二人で街を歩く。
遊馬
明日も明後日も会おうね……